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夜を徹して馬を歩かせた一行。
竹と梅は縛られたまま、うつらうつら眠っていた。
白んでくる空。
詩も、明け方になって時々襲ってくる睡魔に、瞼が重かったが、なんとか耐えていた。
「…寝れば?」
後ろから、牙蔵がグッと詩の腰に腕を回した。
嫌でも、太く逞しい男性の腕が詩の腰からお腹にまわって、居心地が悪い。
「支えてる」
「…」
耳元で聞こえる低く、小さく、冷たい声。
詩は小さく首を振る。
「大丈夫です」
敵国の人間につかまって、運ばれている最中に、悠長に寝られるわけがない。
すると、他の人には聞こえないほど小さな声がした。
クスっという、牙蔵の笑い声だーー
「お前が姫だね」
詩は雷に打たれたように、一瞬震えそうになった身体をなんとか抑えた。
「…」
出来るだけ平静を装うが、息は少し乱れ、言葉が出ない。
「…始めからわかってたけど」
耳元に響く、小さな牙蔵の声。
始めからーー?
「…」
また、フッと小さな笑い声がした。
「いいよ。今は。そういうことにしとこ」
詩の身が固くなる。
これから向かう、敵城ーー高島城。
そこに待ち受ける運命を暗示するように、西の蒼い月が山の上の雲に隠れていった。
夜を徹して馬を歩かせた一行。
竹と梅は縛られたまま、うつらうつら眠っていた。
白んでくる空。
詩も、明け方になって時々襲ってくる睡魔に、瞼が重かったが、なんとか耐えていた。
「…寝れば?」
後ろから、牙蔵がグッと詩の腰に腕を回した。
嫌でも、太く逞しい男性の腕が詩の腰からお腹にまわって、居心地が悪い。
「支えてる」
「…」
耳元で聞こえる低く、小さく、冷たい声。
詩は小さく首を振る。
「大丈夫です」
敵国の人間につかまって、運ばれている最中に、悠長に寝られるわけがない。
すると、他の人には聞こえないほど小さな声がした。
クスっという、牙蔵の笑い声だーー
「お前が姫だね」
詩は雷に打たれたように、一瞬震えそうになった身体をなんとか抑えた。
「…」
出来るだけ平静を装うが、息は少し乱れ、言葉が出ない。
「…始めからわかってたけど」
耳元に響く、小さな牙蔵の声。
始めからーー?
「…」
また、フッと小さな笑い声がした。
「いいよ。今は。そういうことにしとこ」
詩の身が固くなる。
これから向かう、敵城ーー高島城。
そこに待ち受ける運命を暗示するように、西の蒼い月が山の上の雲に隠れていった。夜を徹して馬を歩かせた一行。
竹と梅は縛られたまま、うつらうつら眠っていた。
白んでくる空。
詩も、明け方になって時々襲ってくる睡魔に、瞼が重かったが、なんとか耐えていた。
「…寝れば?」
後ろから、牙蔵がグッと詩の腰に腕を回した。
嫌でも、太く逞しい男性の腕が詩の腰からお腹にまわって、居心地が悪い。
「支えてる」
「…」
耳元で聞こえる低く、小さく、冷たい声。
詩は小さく首を振る。
「大丈夫です」
敵国の人間につかまって、運ばれている最中に、悠長に寝られるわけがない。
すると、他の人には聞こえないほど小さな声がした。
クスっという、牙蔵の笑い声だーー
「お前が姫だね」
詩は雷に打たれたように、一瞬震えそうになった身体をなんとか抑えた。
「…」
出来るだけ平静を装うが、息は少し乱れ、言葉が出ない。
「…始めからわかってたけど」
耳元に響く、小さな牙蔵の声。
始めからーー?
「…」
また、フッと小さな笑い声がした。
「いいよ。今は。そういうことにしとこ」
詩の身が固くなる。
これから向かう、敵城ーー高島城。
そこに待ち受ける運命を暗示するように、西の蒼い月が山の上の雲に隠れていった。
「言うけどさ、怒らないで聞いておくれよ。ねっ、ハンベエ。」尚も笑みを崩さずにイザベラはハンベエの瞳を見詰めている。「解った。怒りはしない。」イザベラの言葉に若干の不安を覚えつつも、ハンベエは促した。「それじゃあ、教えるけど・・・・・・。」 とイザベラは、今回のモスカ夫人生存偽装工作にハンベエからモスカへの手紙を偽造した一件を話した。無論の事、その手紙の内容もだ。「・・・・・・。幾ら何でも、・・・・・・酷くはないか、イザベラ。」無表情にイザベラの話を聞き終えたハンベエであったが、そう言った時には、怒りこそ含んでいないが意気消沈の些か涙目になっていた。international school in hong kong「あははは、ハンベエ。珍しい顔付きになってるね。でもね、ハンベエのやった手紙ビリビリポイに比べたら可愛いものかもね。元々、アンタの頼みだから引き受けた仕事だし、敵を思考停止に陥らせるにはこのくらいの荒技は必要さ。」あたしは悪くないのよと言いたげな、まるで罪悪感を持たない声音である。「ひょっとして、俺嫌われてるのか?」傲岸不遜なこの若者が気弱げにイザベラを見ていた。「まさか、大好きだよ、ハンベエ。だから、時には反省もして、謝る事も・・・・・・、まあ、いいか。あたしは今から、エレナと女同士の語らいがあるから、又ね。」とイザベラは笑んだまま出て行った。一人残されたハンベエは、複雑な顔のまま大きく息を吐いた。(合戦だ。合戦しかねえ。どうも近頃思い悩む事が増えちまってるが、俺の柄じゃねえぜ。ふっ、合戦になれば元の俺に狼返りだ。待ってろよ、ボルマンスクの連中め。大暴れしてやるぜ。)イザベラが去ってすぐハンベエは『ヨシミツ』を抜き放ち、その白刃に語り掛けるようにそんな事を考えていた。この破壊力抜群の剣術使いから、心中のモヤモヤ解消にと敵意を振り向けられるボルマンスクの軍勢こそ良い迷惑だろう。(そう言えば、モルフィネスはロキと打合せと言ったが、どうなってるのか、気になるな。)物騒な息巻きを胸に浮かべた一瞬後には、別の事を思い出して、刀を鞘に収めた。それから、暫くハンベエは時の過ぎるのを待っていた。モルフィネスとロキの打合せを覗きに行っても良いはずだが、邪魔になってはと我慢をしている。総司令官としての意識の為か若干行動に生彩を欠く、この頃のハンベエなのだ。 待っているうちにロキの方からハンベエの部屋を訪ねて来た。「ハンベエ、オイラさあ、ベッツギ川に行く事になったから。」部屋に入るなり、ロキが切り出した。「ベッツギ川へ・・・・・・例のコクシムソウのやった戦法を施す為か。」「うん、地形とか水の量とか色々計算しなければならないからね。モルフィネスと話してるうちに、今からの時間でそれが出来るのはオイラしかいない事に気付いたんだよお。」「そうなのか。」ハンベエは少し考え込んだ。言われてみれば、前にモルフィネスが賞賛していたが、ロキには常人のとても及ばない計算能力がある。今からベッツギ川の水を堰き止めて戦術化するにはロキのその能力が必要不可欠という結論になったのか。と直感で理解した。「モルフィネスも了承してるのか。」「うん、むしろ頼まれた。」「そうか。仲良いんだな。」「うーん、アルハインド族撃退の時の事はまだ何となく引っ掛かってるけど・・・・・・王国金庫の一件以降、あいつ、やけにオイラに肩入れしてくれててさ。色んな事教えてもらったし、それに孤児救済の事やナーザレフ一派の非道についてもオイラの側に立ってくれてるし、今になるとそんなに嫌いでもなくなって来たよお。」「いつ出発する。」「今すぐにでも行こうと思うんだ。」「しかし、我が軍もドルドル鉱山の味方も出発準備に二日は掛かるぞ。」「モルフィネスからも先発隊を編制するから待つように言われてるんだけど、時間が惜しくて待っていられないよお。もう一人でも行かなくっちゃ。」「そうか。本来商人を目指しているロキにそんな真似をさせてすまない。俺の不甲斐なさをを赦してくれ。」
その通り道の中で、王女の慕っていたバンケルクを死に追いやり、弟であるフィルハンドラも斬って棄てた。ハンベエにはその負い目が有った。いかさま知らぬ顔のハンベエと王女に対しては酷薄とも言えるほど冷淡な態度を装い、彼女の身内を斬った事など少しも気に留めない風に見せていたが、実際のところは気に病んでいないわけでは無かったのである。.勿論バンケルクやステルポイジャンとの争いはハンベエが企んだものではなく、元々起こるべき成り行きであり、エレナも又ノッピキナラナイ事情から争乱に身を投じたのであるが、ハンベエの身としてはそれすらも己のせいであるようにも感じられ、心苦しく思うところが有ったのである。尤も、この若者の不思議に乾いた心はジメジメとした罪悪感を抱いていたわけではない。ただ、事が終わった今となってはひたすら王女が元の平穏な暮らしに戻れる事を願っていた。が、どうやら事はそうは進まぬようだ。このまま新たな争乱に突き進む雲行きだ。) 確たる根拠が有るわけでもないが、ハンベエは肌に感じてしまっていた。所々で兵士に声を掛けては、『イシキンを見なかったか』と直属の伝令兵を捜し求める。(ボーンよ、何処にいる。俺はどうにも途方に暮れてるぜ。) その一方で、まだボーンが来ないものかと微かな期待を捨て切れないハンベエがいた。ボーンはボルマンスクにいた。そして、ボーンはボーンで災難に遭遇していた。いきなりだが、話は少し先に飛ぶ。英文故事書 イザベラがゴロデリア王国の東に位置する主要都市ボルマンスクに着いたのはセイリュウ誅戮の二日後であった。途中、太子ゴルゾーラ配下の哨戒線が幾つか有ったが、イザベラである。苦もなく擦り抜けて目的地に辿り着いていた。今は太子ゴルゾーラの居城であるボルスク宮殿の前を女官の出で立ちでさりげなく窺いながら過ぎようとしていた。夜になったら城内に忍び込もうと下調べをしているのだ。向こうから、兵士崩れ風の男が一人歩いて来る。兵士の恰好をした男はそこら中にいて珍しくもないのだが、イザベラは妙に気になった。. 歳は三十半ばであろうか、中肉中背ながら無駄の無い引き締まった体つきである。男は別にイザベラを気に止める様子もなくそのまま横を通り過ぎて行った。傍目にはただの通行人同士、何の問題も無いはずだ。しかし、イザベラはその男から油断のならない匂いを嗅ぎ取っていた。何者か、と思ったが、呼び止めるのもおかしいし、逆に下手に関わって藪から蛇が飛び出して来た日には目も当てられない。そのままやり過ごし、自身もボルスク宮殿の前を立ち去った。一方、イザベラとすれ違った男、かなり離れて辻を曲がった所で立ち止まり厳しい顔付きになって振り返った。その顔に見覚え有り。久しぶりの登場。サイレント・キッチン諜報員ボーンクラッシュことボーンであった。イザベラはボーンの事を知らなかったが、ボーンはイザベラの顔をしっかと覚えていた。素知らぬ顔で通り過ぎたが、内心それこそ『げっ、イザベラ。何しに来やがった。』てなもんである。この時期、こんな場所に現れたイザベラに大いに警戒心を持った。 関わりたくないと思ってる人間が俄かに向こうから現れたのには、ボーンという男の性格上辟易もしたが、仕事である。これも給金の内か、今回ばかりは避けて通れぬものと密かに宮殿警備を行う覚悟を決めた。その夜。本来宮殿を警備している衛兵達には見付からぬよう、ボーンは宮殿内の庭園に身を潜めた。しかし、人間は何故宮殿に庭園など設けるのだろう。人工的に作られたとは言え、樹木の陰や茂みなどまるで曲者に隠れる場所を提供しているようなものではないか。. ボーンは昼間イザベラを見掛けた事を所属しているサイレント・キッチンに報告しなかった。だによって、今回の隠密警備はボーン一人の腹積もりで行っているものである。
エレナの遠乗りが日課の如く三日続けられたのを聞いたハンベエは、『キチン亭』の主人に、「ちょっと消える。訪ね人が有ったら、三日の内には戻って来ると待たせて置いてくれ。」と言って、何処かに出掛けてしまった。水筒と携帯口糧を持って行ったようだ。片や、お姫様いや王女のエレナは甲冑こそ着ぬものの王宮でのドレス姿は衣更え、水萌黄色の乗馬服にいつもの白絹のマントを靡かせ、腰に剣を一振り、供は侍女頭のソルティアだけと至って無用心に四日目の遠乗りに出掛けていた。ハンベエから、ルキドと言う薄気味悪い男が狙っているかも知れないと聞かされているのに大人しくしている気は更々ないようだ。剣の腕に自信が有るのだろうが、この王女、合戦の間も兵士達に常に回りを固められて、人を斬ったのを見た事が無い。剣の修業には血道を上げた時期が有り、ハンベエも王女を強いと見立てが、実戦でどの程度役立つのだろう。ルキドと言う男の話を聞いた上での、ivf價錢 この無用心な振る舞いはむしろ相手を誘い、襲って来るのを待っているかのようであった。案の上と言うべきか、お約束通りと言うべきか、はたまたこれが物語りと言うものの抗えない必然と言うべきか、王女が走らせる馬が雑木林の生い茂った木々の間を抜けようとした時に、突然ピーンと横一文字に綱が張られた。あわや、王女の馬は綱にぶつかるかに見えたが、如何なる手綱捌きを施したのか、ぱっと跳躍してヒラリと躍り越えてしまった。間垣平九郎もびっくりである。 代わりと言っては何だが、後ろを走っていたソルティアの馬がしっかりと引っ掛かって落馬した。馬の上は結構高い場所だ。落馬等となれば下手をすると大怪我をしかねないのだが、ソルティアも心得があったのだろうか、上手く地面を転がって骨を折るのは免れた様子だ。「ソルティア、大事有りませんか。」エレナは馬から降りると、駆け寄って声を掛けた。はい、何とか。」ソルティアはどうにか半身を起こして気丈な返事を返した。それを見たエレナは、小さく肯くと腰の剣を抜き、「出て来なさい。私に用が有るのでしょう。」と凛とした声で言い放った。張られた綱の片側の木陰から二人、そしてエレナを挟んでそれとは反対側の木陰から二人、取り囲むよう四人の兵士崩れの男共が現れた。その内の一人は顔の半分が醜い生み痣で覆われている。今更紹介するまでも無い。ルキドとその仲間である。「あっさり、飛び越えるとは誤算だったぜ。馬の扱いは上手いようだな。」ルキドは薄笑いを浮かべて腕組みをしている。「やはり、あなたでしたか。如何なる理由で、この私を狙うのですか?」恐れる様子も無くエレナが尋ねる。「この俺を知っているのか? そう言えば、目が合ったな。しかし、覚えられていたとはな。」「一度見たら忘れられない顔ですもの。何故、私を襲うのですか。」「けっ、言ってくれるぜ。悪かったな、醜い顔で。」「醜い等とは言ってませんよ。それより、私を襲う理由を聞かせて下さい。」「理由、そんなものどうだっていいだろう。」ルキドが顔を歪めて吐き捨てた。と同時に、背後にいた二人が襲い掛かって来た。一瞬の出来事であった。 カインッ、キンッ、金属のぶつかり合う音が二つ連続して起こった後に見た光景は、襲撃者達が目を疑うものであった。
まあ今更しょうがねえ、と少しだけ渋面を作ってボーンはとある旅籠に紛れ込んだ。旅籠の主人が入口近くに腰掛けて帳簿をくっていたが、ボーンは気配を消して奥に忍び込んだ。間の抜けた話だが、主人は全くボーンの侵入に気付かなかった。恐るべし、陰形の術。旅籠の中に入り込んだボーンは陰形の術で気配を消したまま、空き部屋を探した。そして、手頃な部屋を見定めると、音もさせずにドアを開いた。少々驚いた事にドアには鍵も掛かっていなかった。(おいおい、無用心だろう、鍵も掛けないで。尤も鍵を掛けてても、俺には無意味だがな。)などと考えながら部屋に入ったボーンは、一歩踏み込むなりぎょっと目を見開いて立ち尽くした。中に人がいたのである。全く人の気配など無かった。腕利きボーンには考えられない失態であった。. 驚きはしたが、ボーンは一切物音を立てず相手を見詰めた。老人が一人ベッドに腰掛けてボーンの方を見ていた。歳の頃は七十を過ぎているように見えた。白髪を後で一纏めに紐で結び、口髭顎髭も白くフサフサと艶めいている。肩口に剣の柄を当てるようにして抱き、空気かと思えるほど静かな佇まいでボーンを見詰めている。しかも驚いた事に、突然部屋に闖入して来たボーンを全く驚くでも無く穏やかな目で見ているのである。良く見れば、目の輝き、身体の雰囲気は老いた様子は無く、むしろ壮者のそれを思わせた。「何用かの?」老人は小さな静かな声でニコニコと微笑みながら、ボーンに話し掛けた。一方、ボーンは動けないでいた。老人がいた事にも驚いたし、老人が驚きもしない事にも半ば呆れていたが、ボーンが動けないのは老人の佇まいに一分の隙も無いからである。international school admission open騒がれてはマズイと飛び掛かって口を塞ごうと一瞬思ったボーンであったが、全く隙を感じさせない老人の佇まいに身動きどころか、息すら出来ないほどであった。(余程の達人・・・これ程強そうな奴は俺の人生で二人くらいしか知らない。) ボーンは老人を見て、そう感じていた。ボーンの頭に浮かんだ二人とは、一人はハンベエの事であり、もう一人はサイレント・キッチンの首領『声』の事であった。ハンベエと戦ったエルエスーデやテッフネールも恐ろしい男達であったが、残念な事にボーンはその二人を見た事が無かった。(下手をするとその二人よりもこの爺さん、強いかも知れん。)冗談でなく、ボーンはそう感じた。. 「爺さん、突然踏み込んで来た俺に驚かないのか。」
「こんな歳じゃ。驚くほどの事は既に世渡りの上で大概見て来たよ。」
「・・・。」
「そんな所で固まっておらず、戸を閉めて、椅子にでも腰掛けては如何かな。」 老人は言った。ボーンは黙ってそれに従った。老人の隙の無さ、威圧感には大いに押されていたボーンではあったが、老人にはカケラの殺気も無かった。ボーンが素直に従った所以(ゆえん)である。「表が妙に騒々しいが、追われておいでかな?」酷く優しそうな声音で、老人が尋ねる。ボーンは黙って頷いた。暫くすると、ステルポイジャン軍防諜部隊は宿改めを始めた。老人の部屋にもそれはやって来たが、穏やかに怪しい者は見ていないと説明する老人を疑う防諜部隊員も無く、「何かと物騒な世の中だ。老人もくれぐれも気をつけてな。」と心配までしてくれて去って行った。 無論、部屋の中にボーンの姿は見えない。
宿改めが去って若干の時を経て、ボーンがベッドの裏側から姿を現し、「爺さん、あんた何者だ?」と言った。