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fumio65

夜を徹して馬を歩かせた一行

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夜を徹して馬を歩かせた一行

夜を徹して馬を歩かせた一行。

 

竹と梅は縛られたまま、うつらうつら眠っていた。

 

白んでくる空。

詩も、明け方になって時々襲ってくる睡魔に、瞼が重かったが、なんとか耐えていた。

 

「…寝れば?」

 

後ろから、牙蔵がグッと詩の腰に腕を回した。

嫌でも、太く逞しい男性の腕が詩の腰からお腹にまわって、居心地が悪い。

 

「支えてる」

 

「…」

 

耳元で聞こえる低く、小さく、冷たい声。

 

詩は小さく首を振る。

 

「大丈夫です」

 

敵国の人間につかまって、運ばれている最中に、悠長に寝られるわけがない。

 

すると、他の人には聞こえないほど小さな声がした。

 

クスっという、牙蔵の笑い声だーー

 

「お前が姫だね」

 

詩は雷に打たれたように、一瞬震えそうになった身体をなんとか抑えた。

 

「…」

 

出来るだけ平静を装うが、息は少し乱れ、言葉が出ない。

 

「…始めからわかってたけど」

 

耳元に響く、小さな牙蔵の声。

 

始めからーー?

 

「…」

 

また、フッと小さな笑い声がした。

 

「いいよ。今は。そういうことにしとこ」

 

詩の身が固くなる。

 

これから向かう、敵城ーー高島城。

 

そこに待ち受ける運命を暗示するように、西の蒼い月が山の上の雲に隠れていった。

夜を徹して馬を歩かせた一行。

 

竹と梅は縛られたまま、うつらうつら眠っていた。

 

白んでくる空。

詩も、明け方になって時々襲ってくる睡魔に、瞼が重かったが、なんとか耐えていた。

 

「…寝れば?」

 

後ろから、牙蔵がグッと詩の腰に腕を回した。

嫌でも、太く逞しい男性の腕が詩の腰からお腹にまわって、居心地が悪い。

 

「支えてる」

 

「…」

 

耳元で聞こえる低く、小さく、冷たい声。

 

詩は小さく首を振る。

 

「大丈夫です」

 

敵国の人間につかまって、運ばれている最中に、悠長に寝られるわけがない。

 

すると、他の人には聞こえないほど小さな声がした。

 

クスっという、牙蔵の笑い声だーー

 

「お前が姫だね」

 

詩は雷に打たれたように、一瞬震えそうになった身体をなんとか抑えた。

 

「…」

 

出来るだけ平静を装うが、息は少し乱れ、言葉が出ない。

 

「…始めからわかってたけど」

 

耳元に響く、小さな牙蔵の声。

 

始めからーー?

 

「…」

 

また、フッと小さな笑い声がした。

 

「いいよ。今は。そういうことにしとこ」

 

詩の身が固くなる。

 

これから向かう、敵城ーー高島城。

 

そこに待ち受ける運命を暗示するように、西の蒼い月が山の上の雲に隠れていった。夜を徹して馬を歩かせた一行。

 

竹と梅は縛られたまま、うつらうつら眠っていた。

 

白んでくる空。

詩も、明け方になって時々襲ってくる睡魔に、瞼が重かったが、なんとか耐えていた。

 

「…寝れば?」

 

後ろから、牙蔵がグッと詩の腰に腕を回した。

嫌でも、太く逞しい男性の腕が詩の腰からお腹にまわって、居心地が悪い。

 

「支えてる」

 

「…」

 

耳元で聞こえる低く、小さく、冷たい声。

 

詩は小さく首を振る。

 

「大丈夫です」

 

敵国の人間につかまって、運ばれている最中に、悠長に寝られるわけがない。

 

すると、他の人には聞こえないほど小さな声がした。

 

クスっという、牙蔵の笑い声だーー

 

「お前が姫だね」

 

詩は雷に打たれたように、一瞬震えそうになった身体をなんとか抑えた。

 

「…」

 

出来るだけ平静を装うが、息は少し乱れ、言葉が出ない。

 

「…始めからわかってたけど」

 

耳元に響く、小さな牙蔵の声。

 

始めからーー?

 

「…」

 

また、フッと小さな笑い声がした。

 

「いいよ。今は。そういうことにしとこ」

 

詩の身が固くなる。

 

これから向かう、敵城ーー高島城。

 

そこに待ち受ける運命を暗示するように、西の蒼い月が山の上の雲に隠れていった。

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