忍者ブログ

fumio65

「言うけどさ、怒らないで聞いておくれよ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「言うけどさ、怒らないで聞いておくれよ

「言うけどさ、怒らないで聞いておくれよ。ねっ、ハンベエ。」尚も笑みを崩さずにイザベラはハンベエの瞳を見詰めている。「解った。怒りはしない。」イザベラの言葉に若干の不安を覚えつつも、ハンベエは促した。「それじゃあ、教えるけど・・・・・・。」 とイザベラは、今回のモスカ夫人生存偽装工作にハンベエからモスカへの手紙を偽造した一件を話した。無論の事、その手紙の内容もだ。「・・・・・・。幾ら何でも、・・・・・・酷くはないか、イザベラ。」無表情にイザベラの話を聞き終えたハンベエであったが、そう言った時には、怒りこそ含んでいないが意気消沈の些か涙目になっていた。international school in hong kong「あははは、ハンベエ。珍しい顔付きになってるね。でもね、ハンベエのやった手紙ビリビリポイに比べたら可愛いものかもね。元々、アンタの頼みだから引き受けた仕事だし、敵を思考停止に陥らせるにはこのくらいの荒技は必要さ。」あたしは悪くないのよと言いたげな、まるで罪悪感を持たない声音である。「ひょっとして、俺嫌われてるのか?」傲岸不遜なこの若者が気弱げにイザベラを見ていた。「まさか、大好きだよ、ハンベエ。だから、時には反省もして、謝る事も・・・・・・、まあ、いいか。あたしは今から、エレナと女同士の語らいがあるから、又ね。」とイザベラは笑んだまま出て行った。一人残されたハンベエは、複雑な顔のまま大きく息を吐いた。(合戦だ。合戦しかねえ。どうも近頃思い悩む事が増えちまってるが、俺の柄じゃねえぜ。ふっ、合戦になれば元の俺に狼返りだ。待ってろよ、ボルマンスクの連中め。大暴れしてやるぜ。)イザベラが去ってすぐハンベエは『ヨシミツ』を抜き放ち、その白刃に語り掛けるようにそんな事を考えていた。この破壊力抜群の剣術使いから、心中のモヤモヤ解消にと敵意を振り向けられるボルマンスクの軍勢こそ良い迷惑だろう。(そう言えば、モルフィネスはロキと打合せと言ったが、どうなってるのか、気になるな。)物騒な息巻きを胸に浮かべた一瞬後には、別の事を思い出して、刀を鞘に収めた。それから、暫くハンベエは時の過ぎるのを待っていた。モルフィネスとロキの打合せを覗きに行っても良いはずだが、邪魔になってはと我慢をしている。総司令官としての意識の為か若干行動に生彩を欠く、この頃のハンベエなのだ。 待っているうちにロキの方からハンベエの部屋を訪ねて来た。「ハンベエ、オイラさあ、ベッツギ川に行く事になったから。」部屋に入るなり、ロキが切り出した。「ベッツギ川へ・・・・・・例のコクシムソウのやった戦法を施す為か。」「うん、地形とか水の量とか色々計算しなければならないからね。モルフィネスと話してるうちに、今からの時間でそれが出来るのはオイラしかいない事に気付いたんだよお。」「そうなのか。」ハンベエは少し考え込んだ。言われてみれば、前にモルフィネスが賞賛していたが、ロキには常人のとても及ばない計算能力がある。今からベッツギ川の水を堰き止めて戦術化するにはロキのその能力が必要不可欠という結論になったのか。と直感で理解した。「モルフィネスも了承してるのか。」「うん、むしろ頼まれた。」「そうか。仲良いんだな。」「うーん、アルハインド族撃退の時の事はまだ何となく引っ掛かってるけど・・・・・・王国金庫の一件以降、あいつ、やけにオイラに肩入れしてくれててさ。色んな事教えてもらったし、それに孤児救済の事やナーザレフ一派の非道についてもオイラの側に立ってくれてるし、今になるとそんなに嫌いでもなくなって来たよお。」「いつ出発する。」「今すぐにでも行こうと思うんだ。」「しかし、我が軍もドルドル鉱山の味方も出発準備に二日は掛かるぞ。」「モルフィネスからも先発隊を編制するから待つように言われてるんだけど、時間が惜しくて待っていられないよお。もう一人でも行かなくっちゃ。」「そうか。本来商人を目指しているロキにそんな真似をさせてすまない。俺の不甲斐なさをを赦してくれ。」

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R